あらすじ
　卒業生を見送る送別学芸会で「かぐや姫」の劇をやることになったリミットたち。ところが準備に入ろうとした当初から、クラスは、かぐや姫役をめぐってリミット派と光子派に分裂して収拾がつかなくなってしまう。とにかく道具づくりだけでも始めようというリミットの提案も、光子たちが作業に参加せず、そのことに腹を立てたボスたちまでが持ち場を放棄してしまって空中分解寸前。
　サッカーの練習中だった栗本ジュンに相談しようとしたリミットは、話の途中で、6年生の里見キャプテンにジュンを呼び戻されてしまって面白くない。地味な練習ばかりを黙々と続ける里見を見て、豪快なシュートを決めるジュンにくらべて大したヤツじゃないのにと反感を覚えるのだが、ジュンから「あのひとはスイーパーだからあれでいいんだ」と聞かされる。
　ジュンの言葉の意味が分からなかったリミットだが、やがて里見キャプテンとのあいだに交流が芽生え、彼から、サッカーにはポイントゲッターだけではなくてそれを支える脇役が不可欠なのだと教えられる。主役のなり手しかいないクラスの現状に思い当たったリミットは、自分からかぐや姫役を光子に譲り、お婆さん役で劇を盛り上げようと決心する。ところが、里見は「かぐや姫」の本番を待たずに引っ越すことになり、リミットはさまざまな思いを胸に秘めたまま、かぐや姫に変身して里見の乗ったトラックを見送るのだった。

みどころ
　前半での子供っぽいリミットが、後半に入って大人らしさを感じさせるようになっていくドラマ展開が秀逸。「かぐや姫役は自分だ」と信じて無邪気に父親にそう話したり、自分を支持してくれたボスを頼まれるままに王子役に推薦してやるリミットは、まさに劇の成否などあまり眼中にない子供なのだが、それが次第に実行委員としての責任の重さに目覚めていく変化がよく描けている。
　そして、おそらくリミットは恋をしたのだ。里見キャプテンと一緒に丘まで走っていく姿からは、リミット自身も気づいていないであろう、ホンノリとした淡い恋心が伝わってくる。リミットが思春期の入口に立ったことを感じさせる本編をもって、「ミラクル少女リミットちゃん」は残すところ最終回のみとなるのだ。

ヘンだぞ !?
　里見キャプテンがどうしても小６には見えず、外見も声も高校生くらいに感じられてしまうのが困りもの。