あらすじ
　なんじゃもんじゃの木の上で夕焼けに見とれていたリミットは、偶然に下で乙姫先生と見知らぬ男性が結婚の話をしているのを聞いてしまう。あくる日の学校では乙姫先生自身の口から結婚退職することになったという発表があり、リミットは自分の見た男性こそが乙姫先生の結婚相手なのだと確信する。まもなくリミットは、その男性が近くの歯科医であることを知るのだが、学級会でのブー子の不用意な発言がきっかけとなってクラス中に白状させられる羽目に。ところがボスたちが偵察にいったところ、その歯科医は乙姫先生の結婚相手の友人にすぎないことが判明し、リミットは、ボスから大恥をかかされたと責められる。
　とんだトラブルメーカーになってしまったリミットは、再びなんじゃもんじゃの木に上って反省していたところをボスに見られ、ミラクルジャンプを使えずに下りられなくなってしまう。すっかり夜になってから父親の機転で助けてもらったリミットは、家に帰る途中で、車を停めて助けを求めている乙姫先生に出会い、坂田先生ががけ下に転落してかろうじて岩場にしがみついていることを聞かされる。フライングバッグを使って坂田先生を助けたリミットは、乙姫先生から坂田が結婚相手であることを聞かされて仰天。そして終業式の日、クラス一同からふたりにお祝いの言葉が贈られたあと、乙姫先生からリミットにお別れの手紙が届くのだった。

みどころ
　あまりに日常的なストーリーで当惑させられるかもしれないが、堂々たる完結編。本編でのリミットは、冒頭、中盤の二度にわたってなんじゃもんじゃの木の上で時をすごすが、そこでは単に夕焼けを美しいと感じて見とれているだけである。何度も涙を流した特別な場所であった丘が、いつのまにかすっかりと役割を変えてしまっている演出がニクイ。そして、乙姫先生の目の前で平然とサイボーグである自分をさらけ出せるようになっていたリミット……ここでは、身体はサイボーグのままだが、精神面ではようやく普通の女の子に戻れたリミットの姿がみごとに描かれたのだ。
　脚本家は別人だが、第22話と同様に、視聴者の注意をメインテーマからそらすテクニックが光ったエピソード。今回は、乙姫先生の結婚という前半のメインテーマを、後半に入ってリミットはどうやって木から下りるのかという興味にすり替えてしまう。さらに、リミットの活躍で坂田先生が九死に一生を得るエピソードを続けられて、視聴者はいつのまにか、乙姫先生の結婚相手が判明していないことを忘れて、めでたくすべてが一件落着したような気分にさせられてしまうのだ。緊張が緩んだところで、おもむろに「実は坂田先生が……」とやって視聴者の意表をつく呼吸がすばらしい。