あらすじ
　リミットは生まれてはじめてスケートにいくが、もたつくブー子を尻目にジャンプまできめてアイスショーのスカウトの目をひいてしまう。帰り道に、別の場所で滑っていたブー子から調子はどうだったのかと聞かれたリミットは、初めてで上手に滑れたのは自分がサイボーグであるためだと考えて「まあまあよ」と言葉を濁すのだが、別の日にうっかりと自由に滑れるところを見せてしまい、「自分に程度をあわせて嘘をつくなんて侮辱だ」とブー子を怒らせてしまう。
　ブー子への態度を反省したリミットは、永島湖へのスケートバス旅行では自分を偽らずに存分に滑ろうと決心するのだが、当日になると問題のアイスショーの関係者が目を光らせていて、スカウトを断わる煩わしさから再び下手なふりをしてしまう。しかし、そのことに腹を立てたブー子が危険区域に入り込んで氷が割れはじめたとき、リミットはアイスショー関係者が見ていることを承知の上で、すべてのミラクルを駆使してブー子を助けようと決意するのだった。
　ミラクルジャンプを見とどけたアイスショーの団長は、実はグーとの会話を漏れ聞いてリミットの秘密を知っていたが、そのことには触れずに、素敵な友だちを大切にするようにとだけ言い残して立ち去った。

みどころ
　はじめて外国に発注されたことで有名なエピソード。エンディングクレジットでは、韓国の東紀プロダクションが動画の一部を担当したことになっているが、小松原一男氏は、原動画をすべて韓国側にまかせて自分はチェック作業に徹していたと証言していてニュアンスが異なる。同じく小松原作品である第12話と比較すると、特に前半パートに構図、絵柄ともにいまひとつのカットが目だち、私個人としては、かなりの部分が原画段階から日本の熟練スタッフの手を離れていたような気がする。
　ブー子を助けに急ぐリミットのアップは身震いするほど恰好いいのだが、ロングでは、まったく左右に動かず真一文字に突き進んでいくのでスケートらしく見えなくて残念。また、この時代のアニメにそこまで要求するのは酷かもしれないが、最後のミラクルジャンプに先だって円周を描いて加速するシーンも、スピードの割に半径が小さすぎてちょっと迫力不足だった。途中のジャンプで、後ろ向きに着地したあと余勢を駆ってそのまま後退したり、着地の衝撃で氷面がゆれたりする描写はなかなかよかった。
　黄の標準コスチュームの下にブラウスを着込んだファッションは賛否が分かれそう。デザイン的には許容範囲内だと思うが、方法論的に安易というか、発想が貧しいというか……。前回の第19話ではちゃんとしたスキーウェアを着ていたのだし、標準コスチュームにこだわらずに、もう少し暖かそうなセーターくらい着せてやればよかったのにと思わないでもない。

ヘンだぞ !?
　グーがスケート靴はいてるよォ、やめてくれ！　ところで、スカウトを追い払うために使った指名手配書は、いつどこで作ったのでしょう？