あらすじ
　最近なんだか元気のない乙姫先生。ブー子はあれは絶対に恋の悩みだという。折りしも階段で足を滑らせた乙姫先生が坂田先生に抱きとめられて事なきをえた場面を目撃したブー子は、階段で二人が抱き合って愛の告白をしていたと面白おかしく話して聞かせる。半信半疑のリミットはあまり言いふらさないよう忠告するのだが、今度は自分が、乙姫先生が男性の写真を持っているところを見てしまう。写真を見られて狼狽する姿を不審に思ったリミットはひそかに乙姫先生のあとをつけ、先生が叔母さんから気のすすまない縁談を押しつけられて悩んでいることを知る。
　その後、町中でばったりと乙姫先生の縁談相手と鉢合わせしたリミットは、その男の傲慢な態度にガッカリし、なんとかお見合いをぶちこわして乙姫先生を助けてあげようと考える。お見合いの日、リミットはチェンジフェイスで乙姫先生に変身して男に会いにいくが、破談にする糸口がつかめないまま、どんどん時がすぎてしまう。食事の注文を聞かれて思わず「お子さまランチ」と口走ってしまったリミットは、本物の乙姫先生がやってくる気配にあわてて姿を隠したのだが、本物の乙姫先生は、テーブルにつくやいなや運ばれてきたお子さまランチをみてプッツン。体よく縁談を断わった乙姫先生は、翌日からまた、教壇を踏みならす元気な先生にもどってリミットをホッとさせたのだった。

みどころ
　乙姫先生の本名は鈴木圭子だったのだが、この名前が出てきたのは第18話のみで、他の回では父兄からも教師仲間からも「乙姫先生」と呼ばれていて有名無実化した設定だった。子供のときには分からなかったが、あらためて見返してみると、乙姫先生が不本意な縁談に頭を悩ませる姿はなかなかリアルで見応えがある。乙姫先生は最終回で坂田先生と結婚するが、この回では、ブー子の計略で坂田先生とふたりきりにされて警戒心もあらわに声をこわばらせたり、階段で助けてくれた坂田先生を、いやらしい真似をしようとしていると勘違いしてひっぱたいたりで、まだまだその兆候はうかがえない。
　ところでリミットが乙姫先生に変身するが、チェンジフェイスで実在する他人に変身したのは後にも先にもこのときだけだった。他では、コスチュームはさまざまでも基本的に大人の顔に変わるだけだったので、はじめて本編を見たときには違和感を覚えたものだ。

ヘンだぞ !?
　実は無計画だったリミットのお見合いぶちこわし作戦。たまたまお子さまランチを注文したのが功を奏したけど、いったいリミットちゃん、本物の乙姫先生が来るまでの30分間で何をするつもりだったのやら。
　ちなみに、「子供たちの気持ちが分かるように」なんて珍妙な理屈をつけてお子さまランチを食べようとする先生（リミット）もヘンだけど、ひとこと「ビフテキ」としか注文できない男のボキャ貧も情けないぞ。