あらすじ
　突然３人組の男たちに車に押し込まれて誘拐されたリミットは、「ミラクルパワーで返り討ちにしてやる」とほくそ笑み、心配しないようにというメッセージを託してマジックベレーを飛ばす。ところがその直後に、誘拐の現場を見ていた友男がさらわれてきて、友男と一緒に監禁されたリミットは身動きが取れなくなってしまう。
　はじめは身代金を要求しようとしていた3人組だったが、要求額を聞いたリミットから「自分がそんなに安いなんて心外だ」と散々にケチをつけられ、１億円まで引き上げて「妥結」したところで、ケロッと「でも、うちにそんなお金ないわよ」とかわされてガックリ。リミットはしてやったりと友男と顔を見合わせて笑うが、３人組が、要求を現金から西山博士の研究書類に変更したことで攻守は逆転してしまう。リミットがミラクルパワーを使えない状況に陥っていることを見てとった西山博士は、湯本みどりの反対を押さえて犯人の要求に応じる決心をする。
　一方、リミットは、匂いを嗅ぎつけてやって来たグーの活躍で見張り役２人を始末し、ひと足先に友男を逃がして行動の自由を取りもどす。そして、２人の子分を人質に取って残った首領に対決をせまるのだった。もちろんラストはミラクルパワーが炸裂！

みどころ
　ズッコケ3人組から、手紙を届けさせても後くされの残らない「見るからに間の抜けたやつ」としてスカウトされたのがボス。おもちゃ屋でモデルガンに見とれて、「ダダダダダ、バビュン、バビュン！」と人目もはばからずはしゃいでいたところに目をつけられたが、期待に違わず、警察から犯人の人相を聞かれても、目と鼻の数くらいしか答えられなかった……。しかし、この役どころはいくらなんでもボスがかわいそうだ。「ミラクル少女リミットちゃん」のボスは、好漢ぶりを発揮して共感を呼ぶ場面があった反面、そのときどきの都合で、どうしようもなく陰湿で嫌なヤツにされたり、本編の如く単なるバカとして扱われたことも多く、シリーズ全体を通してのキャラクターイメージとなると、「ひみつのアッコちゃん」の大将などにくらべて、ひと回りスケールが小さくて魅力不足だったと思う。
　ラストシーンは、リミットにきれいに悪党を投げ飛ばしてキメてほしかったのに、さあこれからという場面でボスが飛び出してきて水を差したのは大いに不満だった。
　しばしばアニメ書籍などで紹介されている「リミットはあと1年の限られた生命」という話は、企画段階でボツにされたＮＧ設定であり、そのことは、本編の中で西山博士が「何年かかってもリミットをもとの身体にもどす」と発言していることからも明らか。

ヘンだぞ !?
　研究書類を渡したらリミットをもとの身体に戻せなくなる、といって愁嘆場を演じてみせた西山博士とみどりさん。だけどもこの場面、期待の新兵器が悪の組織の手に渡ってしまうといった話とはわけがちがうはず。研究成果が消えてなくなるわけじゃなし、かけがえのない特殊な器具や装置を失うわけでもないのに、「いったい何をそんなに悩んでいるの？」という感じでリアリティがなさすぎた。