あらすじ
　授業中にもたらされたパパが倒れたという知らせに、リミットは大慌てで裏門から下校するが、家に帰ってみると倒れていたのはグーだった。グーは西山博士に手当てしてもらってすぐに元気を取りもどしたが、そうとは知らずに見舞いに来たボスから「おもちゃの犬が壊れただけでさぼれて旨いことやったな」となじられたリミットは、思わずカッとなって手を上げてしまう。
　西山博士が自分に代わってボスに頭を下げたのを見たリミットは、その晩、「グーの名誉が汚されたのになぜ謝ったのか」と悔し泣きするが、西山博士から「石橋くんを殴ったのは、グーの悪口を言われたからではなくて、自分がおもちゃ呼ばわりされたと思ったからではないのか」と優しく指摘されて返事につまってしまう。パパが倒れたと聞いてびっくりしたり悲しくなったりしたことこそ人間である証拠じゃないかと言い聞かされて、リミットはボスに謝ろうと決心するのだった。
　ところが翌日、ボスの父親が自動車事故でケガをし、その原因がグーにあると誤解したボスは、腹いせにグーをつかまえて「最初から倒れたのがグーだと分かっていたらリミットは早退しなかった」と嫌がらせを言う。自信をなくしたグーは、リミットの気持ちを試そうとして仮病をつかうが、前回と同様に飛んで帰ってきたリミットをみてポロポロと涙を流すのだった。

みどころ
　日の出小学校の裏門は普段は閉ざされたままで、生徒の家庭に不幸があったときなどに特別に用務員さんが開けてくれる。長年の勤務のなかで、何人もの子供が泣きながら走り出ていく姿を見送ってきた用務員さんは、そんな裏門を「なみだ門」と名づけて、毎日「あなたを開けずにすみますように」と語りかけて、子供たちの家庭の平和を祈っていたのだった。用務員さんが「なみだ門」の名の由来を語り、敬虔な面持ちで祈りを捧げる場面はしんみりとはさせるのだが、物語のなかで「なみだ門」が開くきっかけが間違い連絡や仮病ばかりなので、取ってつけたような叙情場面といった感じが否めず、いまひとつ素直に感動できない。
　リミットがボスを殴った真の理由を指摘される場面や、リミットの愛情をかみしめてグーが涙を流す場面なども名場面だとは思うのだが、「なみだ門」、「心こそが人間のあかし」、「リミットとグーの友情」という複数テーマが乱立して何がメインなのかがぼやけてしまい、個々の場面が印象的なわりには面白くない回だった。
　リミットと西山博士の会話場面で使われたBGMは、切ない曲調がたまらなくて大のお気に入り。第10話での使用例もよかった。