あらすじ
　１年生のときからの思い出がぎっしりとつまったリュックサックを前にして、今度の遠足への期待に胸をふくらませるリミット。遠足ではいつもブー子と一緒で、おやつを交換するのが楽しみのひとつなのだ。ところが、一緒に学校へ行こうと声をかけたところ、身に覚えのないことでブー子から一方的に絶好宣言を突きつけられて途方に暮れてしまう。ブー子は、理由を聞かせてほしいという頼みにも耳を貸さず、あげくの果てに誕生プレゼントに贈ったブローチまで突き返してきて、光子たちのグループと行動を共にしはじめる始末。どうやら、リミットがブー子の悪口を言いふらしているという噂が広まっているらしいのだ。
　自分よりも噂を信じるなんてと憤るリミットに対して、西山博士は「北風と太陽」の寓話を例にひき、ブー子を信じて暖かい心で接し続けるように助言するが、リミットの思いは空回りを続けたまま遠足当日になってしまう。
　理不尽な仕打ちを水に流して、何事もなかったかのようにおやつの交換をもちかけて仲直りしようとした最後の努力も報われず、ついにリミットは堪忍袋の尾を切って用意していたおやつをボスに譲ってしまう。ところが、その直後、ブー子が筏に乗ったまま滝に向かって流されたという知らせを聞いた瞬間に、リミットはすべてのわだかまりを捨てて、ミラクルランでブー子を助けに急ぐのだった。

みどころ
　いちばんリミットが可愛らしかった回ということならば本編に止めを刺す。端名監督の作画は喜怒哀楽いずれの場面でもスキがなく、他愛ないストーリーにもかかわらずリミットの一挙手一投足から目が離せない。
　トミさんからお弁当は何がいいかと聞かれて「のり巻き、おにぎり、野菜サンド……」と指折り数え上げる姿は見ているほうまでウキウキとしてしまうし、八つ当たり気味にボスにブー子の居場所を問いただす怒りの表情も魅力的。ブー子の目の前で光子の取りまきに突き飛ばされ、鞄を拾ってくれた栗本ジュンに礼を言うゆとりもないまま、奪い取るように鞄を受けとって走り去る姿からは、リミットの無念さが痛いほどよく伝わってきて哀しかった。その他、リミットが目隠しオニでぶつかってきたブー子に平静を装って仲直りを持ちかけるシーンも泣かせるし、リミットからおやつを譲られたボスが包みを開けると、「ブー子へ」と書いたメモが出てきて思わず顔を曇らせてしまうシーンなども心憎い演出で、ホントに名場面の目白押しだ。
　圧巻は、ブー子を助けにミラクルランで全力疾走するクライマックス。片腕をグッと前に突きだしたまま固定し、下半身だけを猛烈なスピードで動かすメカニック感あふれる走行スタイルはちょっと忘れられない。橋の上から濁流めがけて思いきりよく飛び込み、筏に結ばれたロープを握りしめて岩場にしがみつく姿も凛々しい。