あらすじ
　テスト中に、なぜか突然に算数の問題が解けなくなって頭を抱えるリミットを尻目に、隣の席のボスは真っ先に全問やり終えてクラスメートを唖然とさせる。その後もたび重なる異変にリミットはショックを受けるが、まもなくボスが突然算数が得意になったのはこっそりと電卓を使用していたためであることが判明する。ボスらが電卓を使って宿題を片づけているところへ来あわせたリミットは、ボスに電卓を使うのをやめるよう忠告するが、目の前で再び電卓を使われた途端に、激しい頭痛に襲われて倒れてしまう……電卓から出る電磁波がリミットの身体に影響を及ぼしていたのだ。
　西山博士が対策を講じてくれてリミットは電磁波への耐性を身につけるが、一方で電卓の使用をやめなかったボスは先生に見つかってしまう。告げ口をされたと誤解し、リミットを裏切り者呼ばわりして学校をサボタージュするボス。居場所をつきとめたリミットは、婦人警官に変身して「学校にいかないと逮捕します」と脅かすのだが、ボスはかえってつむじを曲げて事態がこんがらかってしまう。安易にチェンジフェイスにたよったことを反省したリミットは、トミさんの人生経験に学んだ正攻法でボスの心の氷を解かすのだった。

みどころ
　電鉄各社がペースメーカーへの影響等を理由に携帯電話利用の自粛を呼びかけている昨今だが、そのような近未来を予見したかのようなエピソード。いくらなんでも電卓でという感じはするが（２５年前の中学生〜私〜でもそう感じた）、着眼点としては面白い。電卓だけでなく、もっとさまざまな日常生活場面で変調が見られ、そのなかから徐々にリミットのサイボーグとしての構造的欠陥が明らかになるという展開だったら、より説得力のある傑作エピソードになったと思うのだが。
　西山博士の助手兼秘書のみどりさんのフルネームは、諸資料では「湯木みどり」になっているケースが多いが、放映作品のなかで姓が呼ばれたのは本編の１回のみで、西山博士が「ユモトくん」と声をかけていた。西山博士の声をあてた柴田秀勝氏のNGだった可能性もあるが、本サイトでは、経緯はどうであれ放映された作品の内容こそが真実であるとの立場をとっている。

ヘンだぞ!?
　「ミラクル少女リミットちゃん」の原画は、作画監督ほか１名の２人体制の場合が一番完成度が高いのだが、本編では４人がかり。そのなかに未熟なスタッフがいたのか、全体的には悪くないのに所々すごく不出来な画面が目につく。とくに浜辺でリミットが倒れる場面はひどくて、うまい下手を通りこして、胸のブルーの切れ込みやペンダントを描き忘れて、のっぺらぼうになっているカットがあるほど。