小学三年生版
「ミラクル少女リミットちゃん」池原成利
昭和48年9月号（8月1日発売、4ページ）
冒頭に登場するのは生身のリミットちゃん。 バレーボールの試合で大活躍して、信子から、「頭もいいし、スポーツ万能であこがれちゃう」なんて言われています。
放課後、リミットちゃんがパパの研究所へ遊びにいくと、パパは、一人乗りのミニヘリコプターを作っているところでした。
リミットちゃんは「のせて！」とせがみますが、「試作品で危ないからダメだよ」と断わられてしまいます。 でも、あきらめきれないリミットちゃん、パパが目を離したすきに、こっそりと乗りこんでエンジンをスタートさせてしまいます。
実験室に戻ってきたパパは、リミットちゃんをのせたミニヘリコプターが空高く舞い上がっているのを見て真っ青に。
「あたしにだって運転できるわよ」とご機嫌のリミットちゃんでしたが、パパが心配したとおり、エンジンが不調をきたしたかと思うと、ミニヘリコプターはバランスをくずしてまっさかさまに墜落、爆発してしまいます。
リミットちゃんを抱きあげて、必死に名前を呼ぶパパ……。 リミットちゃんはこのまま死んでしまうのでしょうか。
昭和48年10月号（9月1日発売、4ページ）
パパは、リミットちゃんをサイボーグに作りかえることにしました。
気がついて、「助かったんだわ」と胸をなでおろして、もういたずらはしないと謝るリミットちゃんに、パパは涙を浮かべて話して聞かせます。
「でも、もう、おまえは普通の女の子じゃないんだ」
驚くリミットちゃんに、パパは、これからは、困ったときには胸のチェンジペンダントを使いなさいと教えてくれます。
ミラクルパワーは大人の3倍の力、ミラクルランは自動車以上の速さ、ミラクルランは屋根の上でもひとっとび。 チェンジフェイスでお姫さまに変身することだって可能です。
こうして、ミラクル少女少女リミットちゃんが誕生したのでした。
昭和48年11月号（10月1日発売、8ページ）
「ペンダント大そうどう…の巻」この回からサブタイトルがつきます。
親友・浅見信子の家は洋服屋さん。 遊びにきたリミットちゃんは、売り物の素敵な服を試着させてもらって大喜びですが、そのあいだに、外していたチェンジペンダントをチー坊にとられてしまいました。
あわてて取り返したら、チー坊は大声で泣き出すわ、信子からも不審な目で見られるわで、しかたなくリミットちゃんは、「イタズラしないでね」と念を押してペンダントを持たせてあげます。
でも、相手はイタズラ盛りの赤ちゃんのこと、そんな約束はどこ吹く風とばかりに、さっそくガチャガチャとペンダントを回しはじめます。
そのたびに、ミラクルパワーやミラクルジャンプが作動して、リミットちゃんは、気持ちとは裏腹に突然ものを壊してしまったり、空高くジャンプしてしまったりと、散々な目にあわされて泣きべそをかきます。
やっぱりペンダントを返してもらわなきゃと考え直して、ケーキでチー坊を釣ろうとしますが失敗。 こうなったら力ずくよ、と隙をみて飛びかかりますが、わずかにチー坊がペンダントを回すのが早く、リミットちゃんは、いやいやミラクルランさせられて庭まで吹っ飛んでしまいました。
へとへとになり、すっかりとムクれてしまったリミットちゃん……。 結局、にせもののペンダントを用意して、チー坊が昼寝をしているあいだにコッソリとすり替える作戦が成功しました。
これで一件落着……かと思われたのですが、次の日、信子の家にいってみると、友男くんが浮かない顔で、とんだりはねたりズッコケたりしていて、チー坊が大喜びで手をたたいています。
「どうしたの!?」と訊くリミットちゃんに、友男くん答えていわく、「チー坊が変な遊びをおぼえたんだよ。ペンダントをとると泣いて、いつもおもしろい恰好していないと怒るんだ」
昭和48年12月号（11月１日発売、8ページ）
「ボス、あかんぼうになる…の巻」朝の登校時間、女の子たちがリミットちゃんを見て、「そんなスタイルでさむくないの？」と呆れ顔です。 だってリミットちゃんときたら、いまだにノースリーブにショートパンツでケロッとしているんですもの。これはテレビシリーズへの痛烈な皮肉だったりして……。
そこにボスがあらわれて、次々と女の子たちのスカートをめくる狼藉をはたらきます。ショートパンツのリミットちゃんは無事――かと思ったら大違いで、高々とブラウスをまくり上げられて茶巾寿司みたいにされ、ハダカのおなかにマジックで「へのへのもへじ」を書かれてしまいました。
怒ったリミットちゃん、ミラクルパワーでやっつけてやる、とペンダントに手をのばしましたが、そのとき思い出したのが、「ほんとに困ったとき以外は使うんじゃないよ」というパパの言葉……。
ミラクルパワーを使うのをためらっているうちに、ボスは、「文句があるやつはこうだ！」とゲンコツをかざして飛びかかってきます。 思わずリミットちゃんは、フラワーリングを最大パワーでお見舞いしてしまいました。
フラワーリングの効果は絶大で、完全に正気をなくしたボスは、赤ちゃんみたいになってしまいます。
学校でも、「ママぁ、おんぶぅ」とリミットちゃんに甘えてきて、抱きついたままお漏らしまでする始末。 たまらず悲鳴をあげたリミットちゃんは、ボスと一緒に廊下に立たされてしまいます。
でも、なんだか母性本能をくすぐられて、ボスが可愛くなってしまったリミットちゃん、「オシメをしてあげましょうね」なんていってお世話をしはじめ、外に飛びだして列車にはねられそうになったボスを助けると、今度は乳母車に乗せてやってすっかりお母さん気分です。
ところが坂道にさしかかり、止まらなくなった乳母車は小川にドボン！
その瞬間に正気にもどったボス、ズボンもパンツもはいていない自分に気づき、「なんだこの恰好は？ リミット、おまえのせいだな！」
「キャー！ 元にもどってよかったわ」と、複雑な思いで逃げまわるリミットちゃんでした。
昭和49年1月号（12月1日発売、8ページ）
この回はなぜか無題で、作者の名前もタイトルページにはありません。
お正月のお宮参りで、リミットちゃんたちは着物姿で登場です。
そこで出会ったボスに、何をお祈りしたのかと訊いたら、「今年こそは、女の子をみんな子分にできますように」ですって！
あきれたリミットちゃんは、「女の子を子分にしたかったら、あたしと勝負して勝つことね」と挑戦します。
リミットちゃんは、はねつき、カルタ取りと、あっさりとボスを連破しますが、そこでボスもはたと気づきます――「女の子の遊びばかりじゃないか」
ボスは必勝を期して腕相撲の勝負をせまります。 ほかの女の子たちのことを考えたリミットちゃんは、しかたなくミラクルパワーを使って、この挑戦も撃退。
そこに友男くんがやって来て、「凧が電線にひっかかっちゃった」と言います。
それを聞いたボス、俄然はりきって「凧とり競争」を主張します。 着物姿のリミットちゃんを尻目に、スルスルと電信柱によじ登ったボスでしたが、凧に手をのばした途端に感電して、凧もろとも黒こげに……。
思わず「何をやってもダメなボスね」ともらしたリミットちゃんに、ボスは、「よくもいったな、ぜったいに負けないものがあるんだ」と最後の勝負を挑みます――それは、大食い競争。
40杯以上も雑煮を平らげて大の字にのびたボスを見て、男の子たちは涙を浮かべて「バンザイ！」――リミットちゃんも、こればかりはたまらずにギブアップしましたとさ。
昭和49年2月号（1月1日発売、8ページ）
「トラちゃん大そうどう…の巻」
学校から帰ったリミットちゃんが、おやつを探しに台所にいくと、なぜか冷蔵庫の前にトラがいて、食べ物をあさっています（唐突ですが「虎」です）。
びっくりして悲鳴をあげたリミットちゃんに対して、なぜか人間の言葉でいいわけをするトラ（くどいようですが「虎」です）。
「まちいな、いじめんといてえな。 おなかすいとっただけや、なにも悪いことせえへんから堪忍やでえ」（なんだ、こいつは）
話を聞くと、トラは、大阪で飼われいた家が引っ越して置いてきぼりになり、飼い主の女の子をさがそうと東京に出てきたというのです。
一緒に女の子をさがしてあげることにしたリミットちゃん――でも、トラをつれて街中を歩くわけにはいきません。 そこで、パパのズボンとコートと帽子を着せてやりました。
でも、やっぱりトラくんは、2本足で歩きつづけるのは無理でした。 じきにくたびれて4本足で歩きはじめ、通行人にトラであることがばれてしまいます。
警官隊がトラを包囲して一斉射撃をしようというピンチに、リミットちゃんはミラクルパワーでお巡りさんたちをノックアウトしますが、ちょうどそこに買物カゴをさげた女の子が通りかかり、トラくんはめでたく飼い主と再会できたのでした。
ところが、ミラクルパワーの凛々しさに圧倒されたトラくんは、「わて、リミットちゃん好きになってしもた」――でもって、「浮気はあかん！」と思いっきり女の子に叱られてしまったのでした。
昭和49年3月号（2月1日発売、8ページ）
「リミットちゃん、ねむりひめになる…の巻」（最終回）進級祝いに「ねむりひめ」の劇をやることになりました。
お姫さま役はリミットちゃん、王子さま役は弘くんにきまり、怪獣にされてしまったボスは面白くありません。
本番の舞台で、ボスの怪獣は力まかせに王子さまを殴りつけ、弘くんはほうほうの体で逃げ出します。 事態を見てとったリミットちゃんは、大いそぎで弘くんを大道具のなかに隠れさせ、チェンジフェイスで自分が王子さまになって怪獣を退治します。
なんとか筋書きどおりに劇が終わったあと、「乱暴なボスなんかきらい！」とお冠のリミットちゃんに、大慌てのボスは、「もう乱暴しないから、なかよくしてくれ」と口走ってしまいます。
リミットちゃんと照れくさそうに指切りげんまんしているところを見つかって、ボスは、ほかの男の子たちから散々に冷やかされてしまいました。